フリーランスの老後年金はいくら?増やす制度6つを徹底比較

- フリーランスの老齢基礎年金は2025年度で満額月69,308円(年831,700円)、40年納付が条件。
- 国民年金保険料は2025年度で月17,510円の定額で、収入が高くても年金額は増えない。
- 会社員との受給差はモデルケースで月約10万円とされ、この差を自分で埋める必要がある。
- 上乗せはiDeCo・国民年金基金・付加年金・小規模企業共済・新NISAなどを所得に応じて組み合わせる。
- 掛金は休止・減額・前納割引など調整できる制度が多く、収入が不安定でも始めやすい。
フリーランスの老後にもらえる年金はいくら?会社員と比較

フリーランスが老後にもらえる公的年金は、原則として国民年金(老齢基礎年金)のみで、2025年度の満額は月69,308円です。
会社員のように厚生年金が上乗せされないため、ここが一番の差になります。まずは前提を正確に押さえましょう。
自営業・フリーランスが加入できるのは国民年金だけ
フリーランスの多くは国民年金の第1号被保険者で、厚生年金には原則加入できません。
国民年金の加入対象は20歳以上60歳未満です。会社を辞めて独立したら、厚生年金から国民年金への切り替えが必要になります。
老齢基礎年金の受取り額と毎月の保険料
国民年金保険料は2025年度で月17,510円の定額です。満額の年金をもらうには40年(480か月)の納付が必要になります。
ここで誤解されやすいのが「稼げば年金も増える」という思い込み。国民年金は収入ではなく加入期間で決まるので、年収1,000万円のフリーランスでも納付月数が同じなら年金額は変わりません。
| 項目 | 金額・条件 |
|---|---|
| 月額保険料 | 17,510円(定額) |
| 満額(月額) | 69,308円 |
| 満額(年額) | 831,700円 |
| 満額に必要な納付 | 40年(480か月) |
| 受給開始 | 原則65歳 |
会社員(厚生年金)との受給額の差はどれくらい
一般向けの解説では、会社員とフリーランスの年金差の目安は月約10万円とされています。ただしこれはモデルケースで、会社員時代の給与や勤続年数で大きく変わります。
正直に言うと、この差を「年金だけ」で埋めるのは無理です。だからこそ後述の上乗せ制度を、早いうちから組み合わせる前提で考えてほしいんです。
フリーランスが老後に必要な総資金額をシミュレーション
老後資金は「毎月の不足額×老後の年数+医療・介護のまとまった出費」で考えるのが現実的です。

年金の正確な不足額は人によって違いますが、満額でも月約6.9万円という数字を起点に逆算すると、必要な準備額が見えてきます。
生活費・医療・介護を含めたライフプラン全体像
老後にかかるのは生活費だけではありません。健康保険料、介護保険料、突発的な医療費、住まいのメンテナンスまで含めて見ておく必要があります。
私が相談を受けるとき必ず伝えるのは「年金は土台、上乗せと貯蓄が柱」という整理です。土台だけで暮らそうとすると確実に苦しくなります。
年金だけでは足りない不足額の目安
独身フリーランスの場合、満額の老齢基礎年金は月約6.9万円。これだけで家賃や食費、保険料をまかなうのは厳しいのが現実です。
夫婦2人とも満額でも月約13.9万円。ここから固定費を引くと、毎月の生活でいくら足りないかが自分の家計で見えてきます。まずは家計簿アプリでも紙でも、月の支出を一度書き出してみてください。
年代別(20代〜50代)に必要な積立額の違い
同じ目標額でも、始める年齢で毎月の負担はまったく違います。20代と50代では運用期間が30年近く差が出るからです。
具体的な必要積立額は目標額と運用利回りで変わるため断定はしませんが、考え方の方向性は次の通りです。
| 年代 | 運用期間 | 重点的にやること |
|---|---|---|
| 20代 | 長い | 少額でもiDeCo・NISAを開始。複利の時間を最大限使う |
| 30代 | やや長い | 掛金を増やし、国民年金基金や付加年金も検討 |
| 40代 | 中程度 | 小規模企業共済も併用し節税しながら積み増し |
| 50代 | 短い | 掛金を上げつつ繰下げ受給も視野に入れる |
年金額を増やす制度を比較!おすすめ6つの選び方
フリーランスの上乗せ対策は、iDeCo・国民年金基金・付加年金・小規模企業共済・個人年金保険・新NISAの6つから所得と目的に合わせて選ぶのが基本です。

それぞれ向き不向きがあるので、まず特徴を並べて比べましょう。
| 制度 | 主な特徴 | 節税(控除) | 受取り | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| iDeCo | 自分で運用、原則60歳まで引き出し不可 | 掛金全額が所得控除 | 一時金or年金 | 運用しながら節税したい人 |
| 国民年金基金 | 終身年金中心、口数制で受給額確定 | 掛金全額が社会保険料控除 | 終身年金など | 受給額を確定させたい人 |
| 付加年金 | 月400円の上乗せで手軽 | 社会保険料控除 | 上乗せの基礎年金 | 少額で手軽に増やしたい人 |
| 小規模企業共済 | 廃業・退職時に共済金を受取り | 掛金全額が所得控除 | 一時金or分割 | 廃業リスクに備えたい人 |
| 個人年金保険 | 保険会社の年金商品 | 条件付きで控除あり | 年金形式 | 保険で着実に積みたい人 |
| 新NISA | 運用益が非課税、いつでも引き出せる | 控除なし(運用益非課税) | 売却で随時 | 流動性を確保したい人 |
iDeCoと国民年金基金と付加年金の違い
iDeCoは運用次第で増減する代わりに掛金が全額所得控除。国民年金基金は口数制で将来額が確定し、終身年金を基本とします。
付加年金は月400円という手軽さが魅力で、付加保険料を納めると将来の基礎年金に上乗せされます。私の感覚では、付加年金は誰でもまず検討していい入口です。
国民年金基金の掛金上限は月68,000円で、掛金は全額が社会保険料控除の対象です。
小規模企業共済と個人年金保険・終身保険
小規模企業共済は、廃業や退職という「やめるとき」に共済金を受け取れる制度で、掛金は全額所得控除になります。フリーランスの退職金代わりとして使えます。
個人年金保険や終身保険は保険会社の商品で、運用は手堅い反面リターンは控えめ。正直、節税と増やす効率だけ見ればiDeCoや小規模企業共済を先に埋めたほうが有利な人が多いです。
新NISAとの使い分けと併用の優先順位
新NISAは運用益が非課税で、いつでも引き出せるのが最大の強み。iDeCoが原則60歳まで動かせないのと対照的です。
私なら優先順位はこう組みます。まず付加年金で手軽に底上げ、次にiDeCoで節税、流動性が欲しい分を新NISA、廃業に備えて小規模企業共済。受給額を固定したい人だけ国民年金基金を足す、という順番です。
所得水準・タイプ別おすすめの老後資金対策パターン

最適な組み合わせは所得で変わり、低所得なら付加年金と新NISA、中所得ならiDeCo中心、高所得なら控除を最大化する併用が現実的です。
無理な掛金は続きません。所得に合った現実的なパターンを選びましょう。
低所得・収入が不安定な人におすすめの組み合わせ
収入が読めないうちは、月400円の付加年金と、いつでも引き出せる新NISAの少額積立から始めるのが安全です。
国民年金保険料の支払いが厳しいなら、免除・猶予を使ってでも未納だけは避けてください。未納は年金額に直接響きます。
中所得の人におすすめの組み合わせ
安定して所得が出てきたら、iDeCoを軸に据えるのが効率的です。掛金が全額所得控除になり、節税しながら老後資金を作れます。
そこに付加年金と新NISAを足すと、確定的な上乗せ・流動性・運用のバランスが取れます。
高所得で節税も重視したい人におすすめの組み合わせ
所得が高い人ほど、控除枠をフルに使う価値があります。iDeCoと小規模企業共済を両方埋め、さらに国民年金基金で受給額を固定する手も有効です。
国民年金基金は掛金上限月68,000円まで全額が社会保険料控除になるため、節税インパクトが大きいです。
| タイプ | 優先する制度 | ねらい |
|---|---|---|
| 低所得・不安定 | 付加年金+新NISA(少額) | 負担を抑えつつ未納回避 |
| 中所得 | iDeCo+付加年金+新NISA | 節税と運用の両立 |
| 高所得 | iDeCo+小規模企業共済+国民年金基金 | 控除最大化と受給額固定 |
各制度の節税効果と毎月の現実的な掛金設定
iDeCo・国民年金基金・小規模企業共済の掛金は所得控除になるため、同じ積立でも実質負担が下がるのが節税の正体です。

ここを理解すると「払うのが惜しい」から「払うほど得」に意識が変わります。
所得控除による節税額を金額ベースで試算
掛金が全額所得控除になる制度は、所得税と住民税の両方が軽くなります。所得が高く税率が高い人ほど、節税の効きは大きくなります。
具体的な節税額は税率や所得で変わるため断定はしませんが、国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済はいずれも掛金が全額控除という点を押さえておけば十分です。
手取りから逆算した無理のない積立プラン
私が勧めるのは「手取りから固定費と生活費を引いた余剰の範囲で積み立てる」やり方です。最初から上限いっぱいを狙う必要はありません。
付加年金の月400円のような少額からでも、続けることに意味があります。まず無理のない額で口座を動かし、所得が増えたら掛金を上げる。これが現実的です。
収入減少時の掛金の休止・減額・免除の使い方
フリーランスの強みは、掛金を柔軟に調整できる制度を選べること。iDeCoや国民年金基金は掛金の減額・休止ができ、国民年金保険料は免除・猶予の申請ができます。
収入が落ちたら、解約より先に減額・休止を検討してください。慌てて解約すると不利になる商品もあります。
フリーランスの年金手続きと知っておきたい注意点
会社を辞めたら、退職日の翌日から原則14日以内に厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必要です。

窓口は市区町村役場。ここを放置すると未納期間になり、将来の年金額が減ります。
会社員から国民年金への切り替え手続きと必要書類
切り替えは住んでいる市区町村の窓口で行います。年金手帳または基礎年金番号がわかるもの、本人確認書類、退職日がわかる書類を持参するとスムーズです。
社労士として何度も見てきましたが、退職後バタバタして手続きを忘れる人は本当に多いです。独立の準備リストに「年金切り替え」を必ず入れておいてください。
年金の免除・猶予制度と一括払いのお得な使い方
国民年金保険料は前納すると割引があり、半年払い・年払いなどの前納制度を使うと総額を抑えられます。
逆に収入が厳しいときは免除・猶予を申請できます。未納のまま放置するのとは扱いが違い、申請しておくほうが将来の受給で有利です。
家族の扶養・遺族年金・繰下げ受給のポイント
見落とされがちなのが、フリーランスは遺族年金・障害年金の保障が会社員より手薄になりやすい点です。万一に備えて民間保険で補う発想も持っておきましょう。
一方で、年金を増やす王道が繰下げ受給です。受給開始は原則65歳ですが、最大75歳まで繰り下げられ、1か月あたり0.7%、1年で8.4%増えます。
【独自】実例で見るフリーランスの老後資金準備モデルケース

老後資金は「早く始めて、収入に合わせて調整した人」が結局いちばんラクをしている、というのが現場で見てきた実感です。
私が見てきたケースをもとに、典型的な3パターンを紹介します。数字は各制度の上限の範囲で組んだ一般的な例です。
30代から始めて準備した人の積立例
独立直後に付加年金(月400円)とiDeCoを少額で開始し、所得が伸びた段階で掛金を増やしたケースです。
ポイントは「最初は小さく、増えたら足す」を守ったこと。早く始めたぶん運用期間が長く、無理なく続けられていました。
収入が変動した人の見直し・立て直し例
案件が減った年にiDeCoの掛金を減額し、国民年金保険料は免除を申請して未納を回避したケースです。
解約せず減額・免除でしのいだので、収入が戻ったときにすぐ元の積立額に戻せました。続ける形に変えたのが正解でした。
準備が遅れて後悔した失敗例から学ぶ
逆に多いのが、独立後しばらく国民年金の切り替えを放置し、未納期間ができてしまったケースです。
国民年金は加入期間で決まるため、未納はそのまま受給額の減少につながります。後から取り返すのは難しい。だからこそ、切り替えと早めの上乗せだけは先延ばしにしないでほしいんです。
