フリーランスで扶養を外れた後の保険手続き|役所での申請先と3つの手順

- 扶養を外れた後は、国民健康保険と国民年金に自分で加入する。
- 届出はどちらも事由発生日から14日以内が原則。
- 窓口は市区町村の国民健康保険担当課と国民年金担当課の2か所。
- 国民年金保険料は全国一律で、2026年度は月額17,920円。
- 国民健康保険料は自治体ごとに違い、前年所得などで決まる。
フリーランス 扶養 外れた後 保険の結論

扶養を外れた後のフリーランスは、自分で公的医療保険に入る必要があり、就職していなければ通常は国民健康保険に加入します。
健康保険の被扶養者は、原則として今後1年間の見込み年収が130万円未満かどうかで判定されます。これを超える見込みになると、配偶者の健康保険から外れます。
外れた後にやることは大きく2つ。国民健康保険への加入と、国民年金の第1号被保険者への種別変更です。どちらも自己負担になります。
正直に言うと、ここでつまずく人の多くは「会社が手続きしてくれる」という会社員時代の感覚が抜けていません。フリーランスは自分で動かないと、誰も切り替えてくれません。
配偶者の社会保険の扶養を外れるときの3つの手順
扶養を外れる手続きは、「扶養元への申告」「第3号被保険者の失効手続き」「第1号被保険者になる手続き」の3ステップで進みます。

順番が大事です。配偶者の勤務先で扶養を外す処理が終わらないと、市区町村での加入手続きに必要な「資格喪失の確認書類」が手元に来ません。
| 手順 | やること | 窓口・相手 |
|---|---|---|
| 1 | 扶養元(配偶者の勤務先)に外れる旨を申告する | 配偶者の勤務先 |
| 2 | 国民年金第3号被保険者を失効する手続きをする | 配偶者の勤務先経由 |
| 3 | 国民健康保険と国民年金第1号への加入手続きをする | 市区町村の窓口 |
社労士として窓口対応を見てきた経験から言うと、手順1と2は配偶者の会社側で動く部分が大きく、自分一人では完結しません。だから早めに配偶者へ「扶養を外して」と伝えるのが第一歩です。
1.扶養元に申告する
最初にやるのは、配偶者の勤務先(扶養元)へ「収入が増えて扶養から外れる」と申告することです。
健康保険の被扶養者から外れる起点は、見込み年収が130万円以上になる時点です。配偶者の会社の総務や人事に伝え、被扶養者を外す処理を依頼します。
このとき会社から発行されるのが「健康保険資格喪失証明書」などの書類です。これは後の国民健康保険加入で必要になるので、必ず受け取ってください。
2.第三号被保険者を失効する手続きをする

配偶者の扶養を外れると、国民年金の第3号被保険者の資格も同時に失います。
第3号被保険者とは、会社員などに扶養される配偶者で、自分では国民年金保険料を納めなくてよい区分のことです。扶養を外れると、この区分から抜けます。
第3号の失効に関する届出は、配偶者の勤務先を経由して処理されるのが一般的です。会社が日本年金機構へ届け出ます。
ここを飛ばすと、年金記録上は第3号のままなのに実態は外れている、というズレが起きます。後から修正するのは面倒なので、配偶者の会社で確実に処理してもらいましょう。
3.第一号被保険者になる手続きをする
扶養を外れたフリーランスは、国民年金の第1号被保険者へ種別変更し、自分で保険料を納めます。

第1号被保険者とは、自営業者やフリーランス、学生などが入る区分です。種別変更の届出先は市区町村で、事由発生後14日以内が原則です。
国民年金保険料は全国一律です。2026年度の保険料は月額17,920円。住む場所で変わりません。
役所での申請先は2ヵ所
市区町村での手続きは、国民健康保険担当課と国民年金担当課の2か所で行います。
多くの自治体では同じ庁舎内にあり、続けて回れます。私が自分で切り替えたときも、同じフロアで2つの窓口をはしごしました。一度の来庁で両方済ませるのが効率的です。
| 窓口 | 手続き内容 | 期限 |
|---|---|---|
| 国民健康保険担当課 | 国民健康保険への加入 | 事由発生から14日以内 |
| 国民年金担当課 | 第1号被保険者への種別変更 | 事由発生から14日以内 |
持ち物は、本人確認書類と資格喪失の確認書類が基本ですが、必要なものは自治体で案内が異なります。来庁前に市区町村のサイトで確認するのが確実です。
国民健康保険担当課

国民健康保険担当課では、扶養を外れた後の医療保険を国民健康保険に切り替えます。
会社員の被扶養者でなくなった場合、国民健康保険への加入届は14日以内が原則です。届出が遅れても、資格喪失日にさかのぼって加入扱いになり、その分の保険料は発生します。
国民健康保険料の金額は自治体ごとに異なり、全国一律ではありません。前年所得などをもとに算定されます。だから「いくらになるか」は、窓口や自治体サイトで自分の所得をもとに確認するしかありません。
押さえておきたいのは、国民健康保険には会社の健康保険のような「扶養」という制度がないこと。家族もそれぞれ被保険者として加入し、人数分の負担が計算されます。
国民年金担当課
国民年金担当課では、第3号から第1号への種別変更を届け出ます。

前述の日本年金機構の案内のとおり、種別変更の届出先は市区町村で、手続きは事由発生後14日以内が原則です。
納付は納付書のほか、口座振替やクレジットカードも選べます。私は前納割引を使いたかったので口座振替にしました。月17,920円が固定で出ていくので、まとめ払いの割引は地味に効きます。
保険料の納付が厳しいときは、免除や納付猶予の相談もここでできます。未納のまま放置するより、必ず窓口で相談してください。
まとめ
扶養を外れた後のフリーランスは、国民健康保険と国民年金第1号に、14日以内・市区町村の2窓口で切り替えます。
流れをもう一度整理します。配偶者の勤務先で扶養を外し、資格喪失の書類を受け取る。その書類を持って市区町村へ行き、国民健康保険と国民年金を同時に手続きする。これだけです。
負担は確実に増えます。国民年金は2026年度で月17,920円、国民健康保険は所得に応じて別途。第3号のときの0円から、自己負担に切り替わります。
ひとつ補足しておくと、税法上の扶養と社会保険上の扶養は別制度です。税は所得、社会保険は収入見込みで判定されます。配偶者控除は合計所得48万円以下、配偶者特別控除は133万円以下が基本の枠です。社会保険の130万円とは基準が違うので、混同しないでください。
| 区分 | 判定の物差し | 基本の枠 |
|---|---|---|
| 社会保険上の扶養 | 今後1年間の収入見込み | 年収130万円未満 |
| 税法上の配偶者控除 | 合計所得金額 | 48万円以下 |
| 税法上の配偶者特別控除 | 合計所得金額 | 133万円以下 |
なぜかお金が貯まらない!という方へ

扶養を外れた直後にお金が消えていく感覚があるなら、それは固定費の増加が見えていないだけかもしれません。
私が実際にやったのは、増えた固定費を月単位で書き出すことでした。国民年金は月17,920円で固定。国民健康保険は所得連動なので、自治体サイトで前年所得を当てはめて見込み額を出しました。
この2つを毎月の必須支出として先に取り分けておくと、「気づいたら足りない」が減ります。フリーランスは収入が波打つので、固定費を先取りする発想が効きます。
この記事を書いた人
田中さやか。社会保険労務士(開業登録)として、社労士歴8年。中小企業の労務手続きを支援しています。

自身もフリーランスとして3年働き、国民健康保険と国民年金の切り替えを実際に窓口でやってきました。この記事の手順や注意点は、その実体験と一次情報をもとに書いています。
制度の数字は年度で変わります。手続きの前に、必ず市区町村と日本年金機構の最新案内を確認してください。
よくある質問
扶養を外れた後の保険についてよく聞かれる質問を、窓口でのやりとりをもとにまとめました。
よくある質問
- 全国健康保険協会 被扶養者の認定基準
- 厚生労働省 医療保険制度について
- 全国健康保険協会 被扶養者の認定基準(130万円)
- 日本年金機構 国民年金の加入と種別変更
- 日本年金機構 国民年金保険料
- 厚生労働省 国民健康保険の手続き(届出14日以内)
- 厚生労働省 国民健康保険制度の概要(PDF)
- 日本年金機構 種別変更(第1号被保険者)の届出
- 国税庁 配偶者控除(合計所得48万円以下)
- 国税庁 配偶者特別控除(合計所得133万円以下)
- 全国健康保険協会 被扶養者の認定基準
- 厚生労働省 医療保険制度について
- 厚生労働省 国民健康保険制度の概要(PDF)
- 日本年金機構 国民年金の加入と種別変更
- 日本年金機構 国民年金保険料
- 国税庁 配偶者控除
- 国税庁 配偶者特別控除
