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個人事業主の年金対策4制度を比較|始め方と将来の受取額を解説

田中 さやか / 更新:2026-06-19
個人事業主の年金対策4制度を比較|始め方と将来の受取額を解説
「個人事業主だと国民年金しかなくて、老後が不安」。窓口でも、この相談が本当に多いんです。結論から言うと、不足分はiDeCo・国民年金基金・付加年金・小規模企業共済の4つで上乗せして埋めます。

ただ、4つとも入ればいいわけではありません。掛金の上限が共有されていたり、向き不向きがあったりします。

この記事では、社労士として手続きを支援し、自分もフリーランスを3年やった私が、4制度の違い・併用ルール・始め方・受取時の税金まで具体的に整理します。自分に合う組み合わせが決められるはずです。

個人事業主の年金は国民年金だけ?まず知っておきたい基本

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まず土台の話から。個人事業主・フリーランスは会社員と違い、厚生年金には入れません。入れるのは国民年金だけです。

個人事業主・フリーランスが加入する年金とは

個人事業主は国民年金の「第1号被保険者」になります。加入義務があるのは20歳以上60歳未満の日本在住者です。

保険料は所得に関係なく一律。2025年度(令和7年度)は月額17,510円です。1年分前納で約4,000円、2年分前納で約15,000円の割引があります。

40年間(480か月)満額納めると、老齢基礎年金は月額6万9,308円(2025年度)。令和8年度には月額70,608円へ引き上げ予定です(昭和31年4月2日以降生まれ)。

会社員(厚生年金)と比べた将来の不足額のイメージ

会社員は国民年金(基礎年金)に厚生年金が上乗せされます。個人事業主は、この上乗せ部分が丸ごとありません。

つまり満額でも基礎年金の月6万9,308円が基本。ここが、いわゆる「2階部分」が空いている状態です。

正直に言うと、これだけで老後を回すのは厳しい。だからこそ自分で2階を作る必要があります。

老後の生活費はどのくらいかかるのか

必要額は世帯や暮らし方で大きく変わります。確実な共通額を断言できる材料はありません。

なので私は逆算をおすすめします。今の生活費から年金見込み額を引き、足りない分を上乗せ制度で埋める。この考え方が現実的です。

個人事業主が使える年金の上乗せ制度を比較

上乗せの選択肢は主に4つ。iDeCo、国民年金基金、付加年金、小規模企業共済です。順に特徴を見ていきます。

個人事業主が使える年金の上乗せ制度を比較

iDeCo(個人型確定拠出年金)の特徴

iDeCoは自分で掛金を積み立て、金融商品で運用し、60歳以降に受け取る私的年金です。

掛金上限は月額68,000円(年額816,000円)。掛金は全額所得控除、運用益は非課税、受取時も控除の対象になります。

注意点は、国民年金基金や付加保険料を払っている場合、それらと合算で月68,000円までという点。枠は共有です。

国民年金基金の特徴

国民年金基金は、第1号被保険者だけが入れる公的な上乗せ年金です。会社員の厚生年金に近い位置づけと考えてください。

掛金上限は月額68,000円で、iDeCoと合算の枠。終身年金や10年確定年金など7タイプから選べます。

掛金は全額所得控除、受取時は公的年金等控除の対象。運用を自分でしない分、iDeCoより手間がかからないのが特徴です。

付加年金の特徴

付加年金は地味ですが、私が一番すすめやすい制度です。国民年金保険料に月400円を上乗せするだけ。

将来「200円×納付月数」が毎年加算されます。10年(120か月)納めれば年額2万4,000円の増額です。

2年受け取れば元が取れる計算。第1号被保険者なら、まずこれは付けておいて損がありません。

小規模企業共済の特徴

小規模企業共済は、中小機構が運営する個人事業主向けの退職金制度です。廃業や引退に備えてお金を積み立てます。

掛金は全額所得控除の対象になり、節税効果が大きいのが魅力。低金利の貸付制度も使えます。

どの制度を選ぶ?メリット・デメリットと併用ルール

4制度はそれぞれ性格が違います。ここを混同すると「枠が足りない」「思ったより増えない」となりがち。整理します。

どの制度を選ぶ?メリット・デメリットと併用ルール

制度ごとのメリット・デメリット一覧

個人事業主が使える年金・節税制度の比較
掛金上限・数値は2025年度時点。iDeCoと国民年金基金・付加年金は枠を共有する。
制度掛金の目安・上限主なメリット主なデメリット
iDeCo月5,000円〜68,000円(合算)掛金が全額所得控除・運用益非課税運用リスクあり・原則60歳まで引き出せない
国民年金基金月68,000円まで(合算)公的年金で安定・終身年金を選べる自分で運用益を狙えない・予定利率は固定
付加年金月400円2年で元が取れる・手続きが簡単増額幅は小さい・国民年金基金と併用不可
小規模企業共済月1,000円〜70,000円全額所得控除・退職金代わり・貸付あり短期解約で元本割れの恐れ

正直、付加年金と小規模企業共済は「入れるなら入る」で迷う余地が少ない。判断が分かれるのはiDeCoと国民年金基金です。

iDeCoと国民年金基金の掛金上限の関係

ここが一番つまずくポイント。iDeCoと国民年金基金は、別々に68,000円ずつ使えるわけではありません。

2つ合わせて月68,000円までです。例えば国民年金基金に4万円かけたら、iDeCoは残り2万8,000円が上限になります。

さらに付加年金(月400円)を付けると、その分iDeCoの枠が削られます。付加年金と国民年金基金は同時には入れません。

制度選びの優先順位と組み合わせ方

私の考える優先順位はこうです。まず付加年金。次に小規模企業共済。その上で余力があればiDeCoか国民年金基金。

運用して増やしたい・自分で商品を選びたいならiDeCo。値動きが嫌で、決まった額を終身で受け取りたいなら国民年金基金。ここは性格で選んで構いません。

小規模企業共済とiDeCoは枠が別なので、両方フル活用すると節税インパクトが大きくなります。

始め方と費用:加入手続きの流れと掛金の設定例

法改正で個人事業主の収入が激減!?知らないと取り返しのつかない事になります。
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制度が決まったら手続きです。窓口が制度ごとに違うので、ここでまとめておきます。

各制度の申し込みの流れと必要書類

4制度の申込窓口と主な必要書類
基礎年金番号は年金手帳や納付書で確認できる。
制度申込窓口主な必要書類
iDeCo運営管理機関(銀行・証券会社など)本人確認書類・基礎年金番号・口座情報
国民年金基金国民年金基金連合会・各基金加入申出書・基礎年金番号・口座情報
付加年金市区町村の国民年金窓口年金手帳または基礎年金番号・本人確認書類
小規模企業共済中小機構の委託金融機関・商工会等契約申込書・確定申告書の控えなど

付加年金は役所の窓口で申し出るだけ。私が手続きしたときも10分で終わりました。一番ハードルが低いです。

掛金はいくらから?費用の目安

始めるための金額感はこうです。付加年金は月400円。iDeCoは月5,000円から。小規模企業共済は月1,000円から。

国民年金基金は選ぶ年金タイプと年齢で決まります。いきなり上限を狙わず、無理なく続く額で始めるのが正解です。

年代・収入別の掛金と将来受取額のシミュレーション

正確な将来額は運用結果や予定利率で変わるため、確定額の試算は出せません。ただ、付加年金だけは計算が単純です。

20歳から60歳まで40年(480か月)付加年金を払うと、毎年「200円×480=96,000円」が上乗せ。払った保険料は400円×480=19万2,000円で、2年で取り戻せます。

40歳から20年(240か月)でも、毎年4万8,000円の上乗せ。始めるのが遅くても、付加年金は効率がいいんです。

受け取り方と税金:得する出口戦略を知る

見落とされがちなのが出口、つまり受け取るときの税金です。入口の節税だけ見て、出口で損する人がいます。

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掛金が全額所得控除になる節税メリット

iDeCo・国民年金基金・小規模企業共済は、いずれも掛金が全額所得控除。確定申告で所得を圧縮できます。

所得税・住民税が軽くなる効果は、所得が高い人ほど大きい。ここは4制度に共通する強みです。

一時金で受け取るか年金で受け取るか

iDeCoや小規模企業共済は、一時金(まとめて)か年金(分割)かを選べます。これで税金の扱いが変わります。

一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除の対象。どちらが得かは、他の退職金や年金との兼ね合いで決まります。

受取時にかかる税金の比較

受取方法と適用される控除
受取方法適用される控除向いているケース
一時金で受け取る退職所得控除他に退職金が少ない人
年金で分割して受け取る公的年金等控除公的年金が少なく枠に余裕がある人

私のおすすめは、複数の制度の受取時期をずらすこと。同じ年に一時金が集中すると控除を使い切れず、税負担が増えます。

資金繰りが苦しいとき・働き方が変わったときの注意点

フリーランスは収入の波があります。払えなくなったときどうするか、先に知っておくと安心です。

資金繰りが苦しいとき・働き方が変わったときの注意点

掛金の減額・支払い停止・解約の注意点

iDeCoは掛金の減額や停止(拠出をやめる)が可能。ただし口座管理手数料はかかり続けます。

小規模企業共済は増額・減額ができますが、短期で解約すると元本割れの恐れがある。ここは要注意です。

国民年金基金は途中解約ができません。やめる場合は掛金の納付を止める形で、それまでの分は将来受け取ります。

国民年金の任意加入・追納・免除制度の活用

土台の国民年金もできるだけ満額に近づけたい。納め忘れがあるなら追納、所得が低い時期は免除や猶予を使えます。

60歳までに480か月に届かない場合は、60歳以降65歳未満の任意加入で増やせます。基礎年金は終身なので、ここを埋める価値は高いです。

廃業・法人成り・会社員に転身した場合の取り扱い

働き方が変わると扱いも変わります。小規模企業共済は廃業時に共済金を受け取れる設計です。

会社員になり厚生年金に入ると、第2号被保険者へ。国民年金基金は資格を失い、iDeCoは掛金上限が変わります。法人成りも同様に区分が変わるので、移行のタイミングで枠の見直しが必要です。

【独自視点】よくある失敗と制度選びの意思決定フロー

個人事業主やフリーランスの国民年金についてひろゆきが解説します【ひろゆき/切り抜き】
個人事業主やフリーランスの国民年金についてひろゆきが解説します【ひろゆき/切り抜き】

ここからは現場で見てきた失敗と、私なりの判断軸です。教科書には載っていない部分を厚めに書きます。

お金が残らない節税に注意

一番多い失敗が、節税につられて掛金を上げすぎること。所得控除で税は減っても、手元の現金は確実に出ていきます。

iDeCoは原則60歳まで引き出せません。生活費や事業資金を削ってまで満額にするのは、私は勧めません。

インフレや運用リスクという落とし穴

iDeCoは運用次第で増えも減りもします。国民年金基金は予定利率が固定なので、インフレで実質価値が目減りする可能性があります。

どちらにもリスクがある。だから1つに全額を寄せず、性格の違う制度を組み合わせるのが現実的です。

NISAなど年金以外の手段との使い分け

老後資金はiDeCoだけでなくNISAも選択肢です。NISAはいつでも引き出せる代わり、掛金の所得控除はありません。

私の整理はこう。所得控除でしっかり節税したいならiDeCoや共済、途中で引き出す可能性を残したいならNISA。流動性で使い分けます。

配偶者・家族を含めた世帯での対策

見落とされがちなのが配偶者の年金。配偶者も第1号なら、それぞれが付加年金やiDeCoを使えます。

世帯で枠を二重に活用すれば、上乗せ余地は単純に倍。家族単位で設計すると効率が上がります。

個人事業主の年金に関するよくある質問

最後に、窓口でよく受ける質問をまとめます。

個人事業主の年金に関するよくある質問

よくある質問

年金(個人事業主の上乗せ制度)とは何か
個人事業主は国民年金(第1号被保険者)のみで、月額17,510円(2025年度)を納め、満額で月6万9,308円を受け取ります。会社員のような上乗せがないため、iDeCo・国民年金基金・付加年金・小規模企業共済で2階部分を自分で作る、これが個人事業主の年金対策です。
費用はどのくらいかかるのか
付加年金は月400円、iDeCoは月5,000円から、小規模企業共済は月1,000円から始められます。iDeCoと国民年金基金・付加年金は合算で月68,000円が上限です。最初から上限を狙わず、続けられる額で始めるのが安全です。
始め方・申し込みはどうすればよいか
付加年金は市区町村の国民年金窓口で申し出るだけ。iDeCoは銀行や証券会社などの運営管理機関、国民年金基金は連合会・各基金、小規模企業共済は中小機構の委託金融機関で手続きします。いずれも基礎年金番号と本人確認書類を用意してください。

まず役所で付加年金。これが今日できる一歩です。そのうえで、運用したいならiDeCo、安定なら国民年金基金、退職金代わりに小規模企業共済を足していく。順番を間違えなければ、無理なく2階は作れます。

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田中 さやか

社会保険労務士(開業登録) ・ フリーランス経験3年を経て現在は法人・個人双方の社会保険手続きを支援
社労士歴8年

社会保険労務士として中小企業の労務手続きに携わる傍ら、自身もフリーランスとして働いた経験を持つ。国民健康保険や国民年金の切り替え手続きから個人型年金の選び方まで、実際の窓口対応や制度の一次情報をもとに、手順を具体的に解説することを心がけている。

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社会保険労務士として中小企業の労務手続きに携わる傍ら、自身もフリーランスとして働いた経験を持つ。国民健康保険や国民年金の切り替え手続きから個人型年金の選び方まで、実際の窓口対応や制

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